クールなご主人様は溺愛中
玄関で聞きなれた声がした。


「冬夜くん?!」


私の目の前に冬夜くんがいた。


「......どうしたの?」


「待ってた」


え、なんで?


「暗いところ嫌いじゃん、忘れてねーぞ」


たぶん、夏休みの嵐の日のことを言ってるんだと思う。


「里奈ちゃんは俺が送ってくつもりだったんだけど......」


後ろから悠くんの声がした。


「帰るとこ同じなんだから、俺が一緒に帰る」


なんで冬夜くん、そんなのむっとしてるの。


いつもと違う雰囲気に戸惑う。


「......里奈、行こ」


冬夜くんが私の手を引いて歩き出した。


「えっ、ちょっと......」


戸惑う私の声を無視して、冬夜くんはどんどん歩いていく。


「ごめん悠くん。また明日!」


冬夜くんがいるのになぜか車じゃなくて、2人で歩いて帰る。
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