クールなご主人様は溺愛中
「......っ。だって」


今にも泣き出しそうな私を冬夜くんが至近距離で見つめてくる。


「冬夜くん、怒ってる......。ごめんなさい、私、何かしちゃったの?」


そう言うと、涙が頬を流れた。


「あー、そういう事か......」


そうつぶやくと、冬夜くんは私の流れてる涙をすくいとった。


「ごめんな。不安にさせて。里奈は、なんも悪くない」


「でもっ......」


冬夜くん、いつもと違う顔してる。


「あー、じゃあさ、後夜祭、一緒にいてよ」


後夜祭......。


冬夜くんは、あの伝説を知ってるんだろうか。


「里奈?」


「いいよ。一緒に、いよ?」


「ああ」


冬夜くんは、ふっと笑って私の頭を撫でた。


さっきまでの不安が嘘にみたいに私の心は晴れていた。


そして、冬夜くんが私の表情を読み取れたのは星が瞬くこの空のおかげなんだって気づいた。
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