クールなご主人様は溺愛中
「ほんと?!ありがと!」


嬉しそうに笑ったその人と対照的に、私の心は暗く沈んだ。


花火、一緒に見たかったな......。


顔に出さないように必死だったけど悠くんにはバレてたみたい。


「里奈ちゃん、よかったの?」


その人が行ってから悠くんに聞かれた。


「え?なんで?」


「なんか、表情が暗い気がして」


え、顔に出てた?


気をつけてたのに......。


「あっ、そんなにはっきりわかったわけじゃないから大丈夫だよ。安心して?」


そっか、よかった。


ほっと息をつくと、悠くんが優しく笑ってくれた。


「ほんと、優しいね。里奈ちゃん」


「それは、悠くんだよ」


「俺は、別に」


「だって、こうやって声かけてくれたもん。見ないふりもできたのに」
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