クールなご主人様は溺愛中
「......うん」


言わなきゃと思うと、余計に気落ちしてしまって声が暗くなる。


「里奈?」


それを感じ取った冬夜くんが心配そうに私を見る。


「あ、あのね......」


言わなきゃ......。


「その......花火、一緒に見れなくなって......」


怖くて冬夜くんが見れない。


「......なんで?」


いつもより、声が低い気がした。


「別に、見たいやつでもできた?」


「違うよ......。その、実行委員でやらなきゃいけなくなって、本部に」


「そうか」


さっきの怒ったような低い声ではなくなった。


「ごめんなさい。せっかく誘ってくれたのに......」


「いいよ。実行委員なら、しょうがない。どうせ、断れなかったんだろ?」
< 144 / 268 >

この作品をシェア

pagetop