クールなご主人様は溺愛中
「よかった。一緒に見れて。あの時、一緒に見れなかったから」


ああ、あの時だ。


夏祭りの日。


冬夜くんと見たのは、ラストの一つだけ。


私も冬夜くんの耳に口を寄せる。


「私も、一緒に見れてよかった」


私の顔をじっと見る冬夜くんに笑ってみせると、握った手がさらに強く握られた。


私も握り返す。


打ち上げられている花火は、空を明るく彩っていた。
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