クールなご主人様は溺愛中
その日、家に帰ると知らない人に出迎えられた。
「おかえりなさい。冬夜、里奈さん」
とにかく美人で、この家が似合う人。
「母さん......」
そのつぶやきを私は、聞き逃さなかった。
お母さん......。
冬夜くんの......。
「冬夜、朱莉(しゅり)ちゃんが来てるわよ。早く行ってあげなさい。
いずれ、結婚するんですからね」
......あの話、本当だったんだ。
「......」
冬夜くんは、何も言わずに私の隣を過ぎて家の中に入っていった。
「里奈さん、なんだか顔色が悪いわよ?」
私と冬夜くんが付き合ってることを知らないお母さんは、本気で心配そうに見つめてる。
「大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます」
頭を下げて、お母さんの元を離れる。