クールなご主人様は溺愛中
「里奈......」


暖かい温もりと共に降ってくる甘い声。


しばらく抱き合って、離れると冬夜くんの表情がいつもより暗い。


「冬夜くん、大丈夫?」


「世話係が里奈じゃないとか、死にそう」


「柴崎さんなら、大丈夫」


「里奈がいい」


嬉しい言葉だけど、素直に受け取ったら明日からの毎日が辛くなる。


「......そっか」


私も、って言いたいのグッと我慢する。


「里奈、ここに毎日来ていい?」


「え......」


「登下校だけの時間じゃ、足りない」


「......」


切なそうな冬夜くんに、胸が痛む。


私が、もっとどこかのご令嬢みたいな立ち振る舞いができて、
もっと綺麗だったら認めて貰えたかもしれない。


どうしても、そんな考えがよぎる。
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