クールなご主人様は溺愛中
「冬夜、あの子と別れる気になったかしら」


ちょうど廊下を通りかかった時、冬夜くんと冬夜くんのお母さんの会話が耳に入ってしまった。


人事異動が行われてから1週間、冬夜くんとは内緒で毎日会っている。


「は?ならねぇけど」


怒りを含んだ冬夜くんの声。


「どうして、あの子はあなたにふさわしくない」


「そんなの、母さんが決めることじゃない」


「冬夜、メイドと付き合うってことは他の人からも厳しい目で見られるわ」


「それが、なんだよ」


2人の淡々とした討論に恐ろしさを覚える。


「苦労するわよ。あなたに、苦しい思いはして欲しくない」


「そのために、自分の気持ちを殺せって?」


「そんなこと言ってないじゃない」


「そういうことじゃねーか」


ぎゅうっと胸が苦しくなる。
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