クールなご主人様は溺愛中
「里奈? 俺だけど」
ドアの外から声がして、深呼吸をする。
「どーぞ」
できるだけ、不自然にならないように冬夜くんに笑いかける。
「里奈」
その声に胸がきゅうってなる。
それは、愛おしさなのか、これからの事を考えた切なさなのか。
「ああー、充電させて」
人事異動が行われてから、冬夜くんは私に甘えることが多くなった。
一緒にいる時間が減ったからかな。
「......冬夜くん」
「ん?」
甘い声に、何も言えない。
「んーん。やっぱり、いい」
言えなかった。
「そう?」
冬夜くんは少し不思議そうに私をみるけど、深くは追求してこなかった。
それからしばらく冬夜くんと2人で話してるけど、内容なんてほとんど入ってこない。