クールなご主人様は溺愛中
「じゃ、そろそろ行くかな」


そう冬夜くんが立ち上がった時、覚悟を決めた。


「あの、冬夜くん」


「ん?」


もう一度腰を下ろして、私を優しい瞳で見つめる。


決心がまた揺らぎかける。


でも、私のせいで冬夜くんが辛い思いをするなんてやだ。


「......別れて欲しいの」


そうつぶやくように言ったあとの冬夜くんの顔なんて見れなかった。


「なんで......」


......っ。


理由を言ったら、大丈夫って言われるに決まってる。


俯いて、黙る。


「里奈、教えて」


「......朱里さんと、幸せになってね」


私が言えたのは、それだけだった。


「っ。なんでだよ。里奈は?どうするんだよ」


取り乱した声に私も泣きそうになる。


「私なら、大丈夫。ここに住ませてもらって、学校は歩いていくから......。もう、会わないよ」
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