クールなご主人様は溺愛中
「......」


母さんとの会話を聞いて、それで里奈が俺を振った。


明らかに自分の責任だった。


里奈を否定ばかりする母さんに、何も言わない父さんに、そして、それに気づけなかった自分に何よりも腹が立った。


「里奈ちゃん、冬夜くんに迷惑はかけられないって言ってた。
振ったのは里奈ちゃんだけど、ずっと、冬夜くんが好きだよ」


「......っ」


俺を振った日の里奈の表情を思い出す。


苦しそうな、辛そうな表情。


あんな顔してたのに、俺、なんで気づかなかったんだろう。


後悔の波が押し寄せてくる。


「里奈と、話がしたい」


絞り出すような声に、2人が微笑んだのがわかった。


「教室にいるよ。私たちは、別のところに行ってるから」


「冬夜、諦めるなよ、絶対」


「ああ」
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