クールなご主人様は溺愛中
「どう? ここまでしたらあなたも私たちの元へ戻ってくるわよね?」


まだ諦めてなかったの。


「戻らない」


「......つ。どうして」


「ここは、私の家じゃない」


そう言うと、母が目を釣り上げた。


「戻りなさい」


「いや」


「昔みたいに3人で暮らすのよ? 家族3人で」


.....家族?


「毎日罵倒して、ストレス発散の道具にしてた私を家族だなんて言わないで」


そう言うと、母は手を振り上げた。


そのまま振り下ろされ、私の頬を叩く。


乾いた音が響き渡り、頬がヒリヒリ傷んだ。


「......っ」


私がまだ家事ができない頃、毎日のようにこうされていた。


頬はバレるから、次の日が休みの時だけ。


平日は見えないところを蹴られていた。
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