クールなご主人様は溺愛中
「里奈、です」


「入れ」


少し困惑したような声な気がしたけど、気付かないふりをして部屋に入った。


「どうした」


「食べませんか?これ」


そう言って、うどんを差し出す。



「......どうして」


「こんな夜中まで勉強してたら、おなかすくでしょう?」


「ふっ。確かに腹減った」


彼は、優しく笑った。


その笑顔にキュンと胸が高鳴る。


「......どうした?早く食べたい」


日中の彼とは大違いなほど、優しくて同い年のって感じがする。


「ううん。昼間と全然違うなって」


そう言うと、どこか恥ずかしそうに目を逸らした。


「......悪い。警戒しすぎた」


突然謝られて、困惑する。


「今までのメイドみたいに、俺の顔と地位に目が眩んで擦り寄ってくるんだと思ってた」
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