クールなご主人様は溺愛中
これが、この子のトラウマ。


「でも、こんな時間に冷たくあしらわれてきた奴のためにこれ持ってきてくれる奴が、
そんな人なわけねーよな」


無邪気に笑う彼は、かっこよくて可愛くて、私まで気が緩む。


「良かった。もし、いらないって言われたら、どうしようって......」


「ごめんな、そんな態度とってて。もう、ちゃんと信頼するから。な?」


突然の変わり様に驚くけれど、こっちが彼の素なんだろうな。


「それと、星野宮冬夜(ほしのみや とうや)」


「えっ?」


「俺の名前、冬に夜って書いて、冬夜」


「綺麗な、名前......」


そうつぶやくと、彼は驚いたように私を見る。


「どうしたの?」


「いや、なんでもない」


その時、私のお腹が鳴った。


目の前で美味しそうにうどん食べてるんだから、そりゃそうだ......。
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