クールなご主人様は溺愛中
『ねえ、あそぼうよ!』
あ、ここ、知ってる。
パパが入院してた病院だ。
てことは、きっと夢。
その証拠に、小さい頃の私が病室の真っ白なベッドにいる男の子に話しかけてるのが見える。
『いいよ』
その男の子は、素っ気ないけどどこか嬉しさを感じさせる態度で返事をした。
光が邪魔をして、その子が見えない。
懐かしいな。
あの頃は、母とも妹ともちゃんと家族だったのに。
ちゃんと、お見舞いにも連れてきてもらえて、美味しいご飯を食べさせてもらえて。
『ねえ、名前、なんて言うの?』
小さな私がそう聞いた途端、視界が歪んだ。