クールなご主人様は溺愛中
「ね、行こーよ。悪いようにはしないからさ」


「楽しーよ?」


手首を掴まれて、ゾクッと背筋が凍る。


そのまま手を引っ張られて、建物の影に連れていかれる。


「やだっ!」


やっと身体が動いて抵抗するけど、どう頑張ったって、かなわない。


てか、2対1。


無理に決まってる。


ついに、壁に手を押し付けられて身動きが取れなくなる。


「やめ、て......」


ずっと我慢していた涙がついに流れた。


「お、泣いてる女の子って俺の好み」


「そそるよなぁ」


もう私、どうなるの......?


男の人の手が私の脚を撫で始める。


誰か、助けて......。


冬夜くん......。


「里奈!」


幻を見ているようだった。


「とう、や、くん......」
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