クールなご主人様は溺愛中
「では、入りましょう」


執事さんの後ろについて、部屋に入る。


必要最低限のものだけ置かれた部屋の机に座っている男の人。


私が、仕える人。


「坊ちゃん、今日からメイドになられた澄野里奈さんです」


そう言うと、執事さんが私の背中をトンと押す。


「......澄野里奈、です。今日から、よろしくお願いします」


そう言って、頭を下げた。


「......」


返事がない。


それだけで体が強ばった。


でも、ここで顔をあげたら、いけない。


そんな気がした。


数十秒だったと思う。


そうしていたのは。


「......いつまでそのままでいるんだ。挨拶が済んだなら出てけ」


......冷たい。


「失礼しました」


部屋を出ると、お昼ご飯を食べさせてもらった。
< 6 / 268 >

この作品をシェア

pagetop