クールなご主人様は溺愛中
涙声になってしまったのに、少し後悔した。


「ああ」


柔らかく笑って、冬夜くんは私の頭を撫でた。


「ありがとう......」


冬夜くんは、泣き止むまで私の頭を撫で続けてくれた。


そして、決して抱きしめてはくれない。


私を抱きしめてくれたのは、あの時、2人で帰った時だけだった。


それからは、1度も。


「もう、大丈夫か?」


「うん。ありがとう」


泣いてる顔は見ないようにしてくれる私への優しさが嬉しかった。


「明日、遠慮なんてすんなよ?俺、察し良いほうじゃねーし」


釘を刺されるけれど、私は遠慮してしまうんだろうし、
察し良いほうじゃないなんて言ってるけれど、冬夜くんは気づいちゃうんだろうなぁ。


そんなことを考えると、明日が楽しみだった。
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