クールなご主人様は溺愛中
「ふふっ」


自分のちゃんとした服装に表情が緩む。


「......何笑ってんだ?」


「わっ!」


後ろから声がして、振り向くと冬夜くんがドアにもたれかかってこっちを見ていた。


「ね、どう?」


自分の服を見せるように、言う。


「......」


黙ってしまった冬夜くんに、どうしようもない不安が込み上げてきた。


「ごめん、調子乗ったね......」


これくらいではしゃいで、恥ずかしい......。


もしかしたら褒めてくれるんじゃないかって、そんなこと考えたけど、
よく考えたら冬夜くんからしたらこんなの普通。


特別でも、なんでもない。


「......可愛い」


「え」


今、可愛いって言った......!


「似合ってるから、そんな顔すんな」


私、どんな顔してるんだろう。


「ほら、行くぞ」


優しい言葉に自分の表情が明るくなるのがわかった。


「うん!」
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