クールなご主人様は溺愛中
「里奈、起きろ」


そう声がして、目を覚ます。


一緒に寝るようになって1週間、いい加減起きてすぐこの整った顔が間近にあるのにも慣れてきた。


「とーやくん、おはよぉ」


寝起きの回らない頭でそう言うのもいつもの事だ。


「なあ、海行かないか?」


「え?海?」


家の前の海はちょくちょく見てるけど、誰かが遊んでる様子はない。


「ああ、家の前の海、うちのなんだ」


あー、お金持ちだったね、冬夜くんって。


なんか、2人で生活してるうちに忘れちゃったよ。


「俺、仕事で手伝いが割と忙しいし、暇な日に遊ぼうかと思って」


「うん、いいよ」


「よしっ、じゃあ行くか。水着、あるか?」


あ、持ってない。


首を横に振ると、ちょっと意外そうな顔をしていた。


前の家で、プールとか海に行くのはあの二人だけだったから。
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