生きる理由をキミに沈めて、笑顔で私を忘れてください
家から近い海の浜辺に面した橋の上にやってきた。
ここに来れば、
優しく彼に抱きしめてもらえる気がしたから。
切れる呼吸を、膝でした。
…もう死のうか、もう無理だよね。
せめて…"この日"だけは、
避けたかったな。
パッとスマホの明かりで橋の上を照らすと、
仲のいい友達ミサから、着信何件もが来ていることに気がついた。
かけ直すボタンを押して、私は彼女に応答する。
『恋純(かすみ)?いまどこにいるの?
さっき恋純の家から電話かかって』
「ミサ…、もう、…私無理もしれない」
『…え?』
「…今までありがとう」
『ちょっとどういうこと?え?いまどこにいるの』
焦ったような声が、
スマホの奥から聞き取れる。
そんなスマホの通話ボタンをキャンセルして、
私は橋から足を投げ出した。