生きる理由をキミに沈めて、笑顔で私を忘れてください












その時、
スマホがもう一度ブーブーと音を鳴らした。






…高野純喜だ。






スマホを耳に近づけて、
何も声を出さずに、彼の言葉を待っていた。










『…恋純っハァハァ、どこいんだよ』





彼もまた、焦ったように息を切らしていた。







純喜は同じクラスメイトで、
気付いたらよく話すようになっていた。







仲のいい4人でまた同じクラスだったから、
気付いたら近くにいるような仲だった。










「…さあ、私が消えれるところだよ」





『は?何言ってんだよ!』






怒ったようにそういう純喜に、
乾いた笑いを返す。










「ハハ…ねえ、純喜。いつもみたいに笑わせてよ」





『…は?そんなのいくらだって』





「…最後は、笑っていなくなりたいから」









そう言ったとき、
遠くの方で船の汽笛が聞こえた。















< 5 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop