生きる理由をキミに沈めて、笑顔で私を忘れてください
その時、
スマホがもう一度ブーブーと音を鳴らした。
…高野純喜だ。
スマホを耳に近づけて、
何も声を出さずに、彼の言葉を待っていた。
『…恋純っハァハァ、どこいんだよ』
彼もまた、焦ったように息を切らしていた。
純喜は同じクラスメイトで、
気付いたらよく話すようになっていた。
仲のいい4人でまた同じクラスだったから、
気付いたら近くにいるような仲だった。
「…さあ、私が消えれるところだよ」
『は?何言ってんだよ!』
怒ったようにそういう純喜に、
乾いた笑いを返す。
「ハハ…ねえ、純喜。いつもみたいに笑わせてよ」
『…は?そんなのいくらだって』
「…最後は、笑っていなくなりたいから」
そう言ったとき、
遠くの方で船の汽笛が聞こえた。