氷菓と煙草
もう過ぎたことだ。
仕方がない。
それでも考えてしまう。
同情してくれただろうか。
慰めてくれただろうか。
それとも ――
「はっ」
思わず鼻で笑う。
らしくねぇ。
暗い部屋の中で夜を噛み締めるようにアイスの棒を力一杯上の奥歯と下の奥歯で挟み込む。
固いようで柔らかい、柔らかいようで固い感覚が歯に当たり背筋がゾクリとした。
「―― ははっ」
自虐的な笑い声だけが暗い部屋の中に響いた。
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