氷菓と煙草
私が答えるとおっさんが意外そうに目を丸くした。
「へー!そうだったんだ」
「なんだ意外か?」
「意外よ。意外。意外以外なにものでもない程意外」
「だって、お嬢ちゃん会う度に毎回そのアイス食べてるイメージがあってさ」
赤い煙草の火がおっさんの手元を少しだけ照らす。
「あー、…… 親が昔からこのアイスばっか買ってきてさ」
「だからこの時期になるとつい、習慣っていうかさ」
私は説明しつつ左手で頭頂部を掻く。
家族の話を他人にするというのはどうにも気恥ずかしい。