息絶えたカナリアの涙声
「.........はぁ、バカらしい」
愛らしいなんて思ったことに男は、名も知らぬ黄色した鳥が飛んで行った空を見て一言零す。
春の暖かい風が吹き付けると、男は窓を閉めてコンビニ弁当の前へ腰を下ろして口にするのだった。
食べ終わればゴミ箱に捨て、再びテーブルに向き合う。
横にあった引き出しから取り出され、テーブルの上に置かれた物は原稿用紙と鉛筆だった。
男は売れない作家。
今日もまた原稿用紙とにらめっこ。
書いては捨て、書いては捨てるのサイクル。
出来上がりを出版社へと見せるも受け取ってはくれない。
何がいけないのか、何故受け取ってもらえないのか、理由も分からずただ帰されてしまう。
男は、もう限界だと悟っていた。