息絶えたカナリアの涙声
男のスマホの画面にはカナリアの写真が映し出されたまま。
生態を見ればカナリアは世界中で有名な鳥で、人に飼われているらしい。
ヨーロッパでは毒ガス検知や実験動物と道具のように使われ、日本ではひ弱な鳥や籠の鳥として認知されている、と書かれてある。
人にすぐ馴れやすいがためにカナリアは、人間にとっていい道具になってしまったのだろう。
男が言う可哀相な鳥というのは一理ある。
「一層の事、絶滅してしまえばいい。生きているからいい道具として使われる。ならば、死ねばいい。......って何言ってんだよ」
はぁ、と大きな溜め息をついた男は起き上がり、再び原稿とにらめっこを始めた。