天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
「違うんだ咲、そいつはお前の……」
出て行きざまに義父が言いかけた言葉が気になるけど、咲が怒ってリビングのドアを勢いよく閉めたから聞こえなかった。
「まったく!ありえないんだけど……自分の親として恥ずかしいよ!」
今まで見たことがないくらい怒っていたけど、私はそれがすごく嬉しかった。
実の父親よりも赤の他人の私を信じてくれたから。
「咲、ありがとう」
咲はため息をつき、切ない顔をして私を見る。
「お姉ちゃんはこの家にいない方が幸せになれるのかな……婚約者の人に大事にされてるんでしょ?」
「どう……かな」
「よし!じゃあ顔合わせのときに私が見定めてあげる!」
「咲がぁ?」
「うん!お姉ちゃんに合わないような人だったら私は反対するかなぁ~」
「えー!?」
私たちは顔を見合わせて笑いあった。
咲が妹で本当に良かった。