天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜


「違うんだ咲、そいつはお前の……」


出て行きざまに義父が言いかけた言葉が気になるけど、咲が怒ってリビングのドアを勢いよく閉めたから聞こえなかった。


「まったく!ありえないんだけど……自分の親として恥ずかしいよ!」


今まで見たことがないくらい怒っていたけど、私はそれがすごく嬉しかった。

実の父親よりも赤の他人の私を信じてくれたから。


「咲、ありがとう」


咲はため息をつき、切ない顔をして私を見る。


「お姉ちゃんはこの家にいない方が幸せになれるのかな……婚約者の人に大事にされてるんでしょ?」


「どう……かな」


「よし!じゃあ顔合わせのときに私が見定めてあげる!」


「咲がぁ?」


「うん!お姉ちゃんに合わないような人だったら私は反対するかなぁ~」


「えー!?」


私たちは顔を見合わせて笑いあった。


咲が妹で本当に良かった。

< 122 / 250 >

この作品をシェア

pagetop