天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
私と目が合うと、ふっと片方の口角だけ上げて微笑んだ。
マンションでのことが頭をよぎり、思わず目を逸らしてしまった。
「あなたがちひろさんですか!やっと会えましたね」
天馬くんのお父さんが立って私に握手を求めた。
続けて天馬くんのお母さんも立ち上がってにこりと笑顔を見せる。
「初めまして!ちひろですっ」
差し出された手を握るととても暖かくて。
天馬くんを育てた人たち……優しさが溢れ出ていて私の緊張で硬くなった心を溶かした。
「ちひろさんに会える日を楽しみにしていたのよ」
天馬くんのお母さんがしみじみ私の顔を見つめる。
なんだろう、すごい歓迎されているのが伝わってくる。
私と会うのは初めてのはずなのにどうしてここまで?
その時突然、後ろにいた咲が「あの……」と、震えた声を出した。