天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
「反対って、どうして……」
「今思うとこの政略結婚のためだったんだろうけど……なんでその相手がうちなのに私じゃないんだろうって思っちゃって……なんでお姉ちゃんなんだろうって……ごめん、こんな風に考えたくないのに」
咲の大きい瞳から涙が零れ落ちる。
こんなに素直で可愛い咲を天馬くんは手放したくなかったはず。
やっぱり忘れられない子って、咲のことだったんだよね。
天馬くんの頭の片隅にはいつも咲がいたんだ。
許婚は咲でもよかったはずなのに……
本当に、どうして私なんだろう。
天馬くんに近づきさえしなければきっと〝好き〟という気持ちも知らずにすんだのに。
でも咲の涙を見ていたら、この気持ちは絶対隠し通さなきゃって思った。