天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
二人は両想いなのに私なんかが入る余地はない。
「大丈夫……私がなんとかするから」
「え……」
「咲、あまり考え込まないで。とりあえず今日は一緒に帰ろう」
咲を抱えてタクシーで帰宅した。
元気づけても咲は落ち込んだままで。
「今日はごめんね、私のせいで食事会台無しにしちゃって……」
「そんなことないよ、咲に何も言わなかったお義父さんとお母さんが悪いんだから」
「ありがとう……今日はちょっと横になるね」
か細い声で私にそう言うと、静かに部屋のドアを閉めた。
あんな咲は初めて見る。
よっぽどショックだったんだろう、親はどうして咲に言わなかったのか、腹立たしくなったのと同時に喪失感に襲われた。