天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
「どうしても嫌だというのなら相手側にそう伝えておこう。あっちもお前の気持ちを優先してくれるだろうから」
「えっ……本当にいいんですか?」
珍しく私の意見を聞き入れてくれて驚いた。
「このことについては神城と話をする予定だったんだ。やっぱり一度恋仲になった咲との方がいいんじゃないかと思ってな。もちろん咲は仕事も軌道に乗ってきたし、婚約をしても世間にはしばらく秘密にしなきゃならないが……。お前もその方がいいんだろう?」
私は静かに頷いた。
……そうなってくれたら嬉しい。
と思う反面、寂しい気持ちも増していく。
いやだめだ、考えたらダメ。
「て……神城さんには改めて私からも謝りたいと思ってます」
「ああ、そう伝えておく」
そう言うと義父は部屋を出て行った。
「ちひろ……本当にいいの?」
「え?」
「天馬くんのこと……」