天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜

「あ!私まだ夏休みの宿題終わってないんだった!作文がさぁ……明日始業式だしやるね!?」


「あらそうなの?」


「うん!じゃあまた!」


「頑張ってね、夕飯の時呼ぶから」


「はーい」


パタンとドアを閉めたのと同時に涙が溢れてきた。


「やばかった……」


危なくお母さんに泣き顔見られるところだった。


婚約破棄になったらもう天馬くんとはただのクラスメイトになる。


そして咲との婚約が決まったら……天馬くんは妹の旦那さんになるんだ。


もう私だけに見せる笑顔も優しく触れる手も思い出しちゃいけない。


あの手は最初から咲のものだったんだから。


涙が止まらなくて自分でも驚いた。


私、こんなにも天馬くんのことが好きだったんだ……。


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