天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜


「ちょっとやめなよ!」と瑠実が私たちの間に入ってくれた。


「瑠実わりぃ、こいつ借りるからセンセーにうまく言ってて?」


「はぁ!?今から始業式なんだよ!?ちひろをどこに連れてくの!?」


ぐいっと私の手を引っ張り強引に歩き出す。


「今度なんか奢るわ!よろしく!」


瑠実にそう告げると私を引っ張りながら教室を出て行く。


周りのみんなは驚いた顔をしてこっちを見ていた。


「ちょっ……天馬くん!?聞いてる!?」


無言のままずんずん歩いていく。


繋がれた手が熱くて……。


どうしていつも手首だったのに今日に限って手を繋ぐの……?


胸がぎゅうっと締め付けられる。


辿り着いた場所は屋上で。


ここは天馬くんとの最初の思い出の場所。


ああ……ここから始まったんだよね。


天馬くんの左手には屋上の鍵があった。


「扉壊れてたのに……直ったんだ。鍵はどうやって手に入れたの?」


「んなの言えばもらえるわ」


そんなわけないと思うけど。


天馬くんじゃなきゃ先生は渡さないだろうな。


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