天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
「家の前でなにを騒いでるんだ」
玄関から義父が顔を出した。
ああ。
会いたくない、見られたくない人。
なのに義父はそんな私の気持ちなどおかまいなしに、私たちの元へとやってきた。
光くんがぺこっと頭を下げ、「ちひろさんと同じクラスの高峯です」とあいさつした。
「誰が見てるかわからないからここで騒ぐのはやめなさい」
義父がちらっと私を見て怪訝な表情をした。
「お前がいるとろくな事ないな」
「え……」
「男をたらし込むのだけはうまいのか?」
私にしか聞こえないような声で言い、天馬くんの方を向いた。
「天馬くん、ひとつ君に伝えておきたいことがあったんだ」
「……なんすか?」
天馬くんはため息交じりに聞いた。
「ちひろのことをどこまで知っているのかわからないが。この子の体には大きな傷があってな……」
「ちょっと!なんで今それを!」
信じられない……。
苛立ちと恥ずかしさでここから逃げ出したくなる。