天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
「少なくとも俺はあんたよりちひろのこと知ってるつもりですから」
天馬くんは繋いだ手にぎゅっと力を込めると、光くんの方を向いた。
「悪いけど光、こいつの手ぇ離してくんない?」
「天馬……俺も引くつもりないよ。ちひろちゃんのこと曖昧に考えるなら……」
「曖昧にしてねーし。今日はけじめつけに来たんだよ。今度はちひろと話したいから……頼む」
驚いた。
こんな風に天馬くんが人に頼むことなんて今までなかった。
ふと咲の方を見ると、咲は苦笑いしている。
どういうこと!?
「……わかった。今日はこの手を離すけど、諦めるつもりはないから」
「ん。わりぃな」
光くんがそっと手を離してくれた。
両方から手を繋がれるとは思わなくて動揺してたけど、これで少しほっとする。
天馬くんが光くんから私のバッグを受け取り、持ってくれた。