天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
パパのことを出してあげようと思ったけど、ぐちゃぐちゃになった車の前方部分にパパの足が挟まってなかなか動かなくて。
太腿に大きな傷を負った小学生の私には限界だった。
悔しくて悲しくて。
この後起こることはだいたい想像できてたし、すぐそばにいたのに助けることができなかった自分に腹が立った。
私は泣きながら車からはい出た。
血まみれの足を引きずって。
なんとか車から出たとき、地べたに倒れてる男の子が見えた。
その子が……天馬くんだったの?
「ちひろも怪我してたっぽいのに俺を引っ張って抱えてさ。少し離れたところまで連れてってくれたんだよな」
「信じられない……あの子が天馬くんだったなんて」