天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
「これがその時の傷」
そう言ってTシャツをめくって背中を見せてきた。
びっくりして思わず手で目を隠そうと思ったけど、それ以上に驚いた。
薄かったけど、天馬くんの背中部分にななめに傷跡があったから。
そういえば海の時に言ってたっけ。
〝俺も背中に傷あるし〟って。
あの時は気にしてなかったけど……このことだったんだ。
「今は痛くないの……?」
「全然。あの後すぐに車が爆発して炎上して……ちひろがいなかったら死んでたかもしんねぇな」
あの時は男の子を助けるのに必死だった。
そして車が火に包まれていくのを少し遠くから見つめていた。
信じられないし、どこか他人事に思えて。
だってあそこにパパがいるなんて考えられなかったから。