天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
HERO
ーSIDE CHIHIRO-
「おい!」
その聞き慣れた声にどれだけ救われたんだろう。
すうっと心が軽くなって、体の痛みなんて感じなくなるくらい。
天馬くんが来てくれたんだ。
「やっぱりきやがったか」
腕を掴んでいた男の手の力が強くなる。
「痛っ……」
「そのきたねぇ手離せよ!クソヤロー」
私の近くに来ようとした途中で、天馬くんは他の男たちに後ろから羽交い絞めにされた。
「天馬くん!」
1人で2.3人に立ち向かうなんて無理、天馬くんまで怪我しちゃったら……!
「お前が挨拶もなしに急に消えるからなぁ、こんなことになんだぞ?散々世話してやったのに」
「世話?してやったのはこっちの方だろ、俺の金にたかってきたくせに。ぺこぺこしてたのはどいつだよ?」