天馬くんは危険です!〜イケメン男子と政略結婚〜
咲やお母さんに疑われるのが怖い。
そしたらあの家にいれなくなってしまう。
それに今天馬くんはなんて思ってるんだろう。
私が嘘ついてると思ってるかな、天馬くんにだけはそんな風に思われたくない。
急に涙がこみ上げてきて思わず俯いた。
しかし次の瞬間、甘い香りが私を包み込む。
天馬くんが私を抱きしめてくれている。
一瞬にして温かくなり、私の気持ちを落ち着かせてくれた。
「お前は悪くねーから」
その一言で胸に刺さった棘が取れるような気がした。
「気が済むまで泣いていいし。俺の前でまで我慢すんな」
そんなこと言われたら余計泣いてしまう。
天馬くんの腕の中で私は久しぶりに大泣きした。
それはとても子供の様な泣き方で。