泣きたがりの君に優しい歌をあげる
「そっか、だからさくらの青春は真夏くんに全て奪われているのね」
「でも、青春とは少し違うと思う」
「りっぱな青春だと思うけれどなー」
「そうかな?青春ってのはあんな感じじゃない?」

友達の由真がいきなり教室の片隅でいちゃついているカップルを指さす。

「え?あれはちょっと違うんじゃないの?」
「まあね」
「まあ、私はさくらの青春、応援するよ」
「青春と違うっていったのは由真じゃん!」
「こっちの世界にも目を向けて欲しかったの」
「真夏くんは同じ世界の人間です!」


人差し指で私の鼻の頭をぷにっと由真が押さえて笑う。

「そうだね。でも私たちと会う事なんて一生ないじゃん」
「わかってる。そんな事」

 自分で言っておきながら悲しくなった。

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