泣きたがりの君に優しい歌をあげる
そんな事を考えていると先生が口を開いた。教室の中を見回して私の隣にぽつんといきなり置いてあった席に目を止める。

「鳴海の席はっと…」

 今朝学校に来たらいきなり席が用意してあったのだ。少し不思議に思ったのだけれど、今日鳴海くんがくるというのならそういう事だったのか…と思う。

「私の隣?ですが?」
「お、良く気づいたな、瀬野川」
「朝来たらいきなり席が増えていれば」
「そう、じゃ鳴海。隣の瀬野川だ。何かわからない事があれば聞けばいい。いいやつだぞ」
「わかりました」


鳴海くんは私をチラリと見ると、先生にそう応えて隣の席に座った。
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