泣きたがりの君に優しい歌をあげる

「鳴海くん。私、瀬野川さくらです。よろしく」
「あ?うん。よろしく」


鳴海くんが隣の席に座ったタイミングで私は笑顔を作って話しかける。

するとそっけないけれど返事が返ってくる。

彼は私の方を少し見て頭を下げると綺麗な仕草で席に座った。


(鳴海くんって…横顔綺麗だな…)


先ほど見た印象とは少し違う。

隣に座っている鳴海くんからは「少しイケてない男子」ではない雰囲気が漂っている。


そんなことを考えてながらつい横顔に見惚れていると、彼が私の方を向く。


「どうしたの?」
「ん?あ、ごめん、横顔に見惚れていた」
「え?」
「ああ、なんでもない!」


恥ずかしい事を口走ってしまった。

絶対に鳴海くん、変な子だと思ったはず。


私は熱くなった頬を両手で覆う。

少し冷たい温度が気持ち良い。


「あの…」
「え?」


そんな事を考えていると鳴海くんが私に声をかけた。
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