泣きたがりの君に優しい歌をあげる



「さくら、早速鳴海くんと仲良くなってるじゃん」
「そ、そんな事ないって!」
「その驚き方怪しいなー」
「なんでよ!仲良くなってないって!」
「ふふ、さくらにもやっと春がやってくるのかな?」
「やめてよ!由真ちゃん!」


 今はお昼休憩。 

 お弁当を食べながら由真ちゃんと話していると早速転校生くんの話題になる。

 由真ちゃんの席からは私と鳴海くんがバッチリ見えていたようで、あらぬ誤解を受けてしまった。


「恋なんてね、え?ってところから変わっていくものよ」
「由真ちゃん、わかった風だけれど…私と一緒じゃん」
「それを言わないで!でも中学の時には好きな先輩がいたもん」
「そっか、そうだよね」
「って、本気で落ち込まないでよ」


 しゅん、としてしまった私を見て由真ちゃんが慌てた。


「落ち込んでないよ、ただ…」
「ただ?」


 そう言ってニマニマした顔で私を見るから先ほど感じた妙な感覚を言うのをやめた。


「なんでもない!」
「なーんだ、恋しちゃったって言うのかと思った」
「違うって。だって私は真夏くん一筋だもん」
「あー、つまんない!」
「もうっ!つまんないとか言わないでよ」
「だって本当だもの」


そう言いながら由真ちゃんは卵焼きを頬張った。


 つまんないとか言われても困るよ。
 だって、恋なんてわかんないし、私は真夏くんが好きだし。


 もし、恋をしているとしたら真夏くんへの気持ちが恋なんだと思うもの。


「でもさー…」


 由真ちゃんがまた鳴海くんの話を始めたので私は黙って聞くことにした。

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