泣きたがりの君に優しい歌をあげる


失態!真夏くんの冠番組を忘れているなんて!


私は急いでリビングへと駆け降りた。


次の日。


「鳴海くん。おはよう」
「あ、瀬野川さん、おはよう」


昨日の今日だけれど、鳴海くんに会えることがなんだか嬉しいというか恥ずかしいというか…


(変な気分…どうしてだろ?)


「どうしたの?気分でも悪い?」
「え?ううん。元気だよ!」
「それならいいけれど」


鳴海くんはそう言いながら「あ、そういえばいいもの!」と言って全教科の教科書を見せてくれた。


「昨日、先生にもらったんだ。だから今日からはもう迷惑かけないから」
「そ、そうなんだ」


鳴海くんの言葉になんだか心臓がチクリと音を立てる。


(あれ?なんだろ。私、おかしいな?)


そんな事を考えながら席に座る。
そして鳴海くんの席を横目でチラリとみた。


(遠い…)


昨日はあんなに近くにいたのに。
隣の席ってこんなに遠かったっけ?


鳴海くんの綺麗な横顔を見ていると、なんだか泣きたくなってきた。


(何?これ、なんていう気持ちなんだろう…)

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