泣きたがりの君に優しい歌をあげる
「わー!雪が降ってるね」
「この辺りは早くから雪が降り始めるからね」
「そうなんだ!ちょっと遊んで来てもいい?」
「いいわよ」

 お母さんの田舎に来て、久々に息が出来たと思った。

 都会の空気はどこまでもどんよりと曇っていて、息苦しい。そして部屋の中に居ることも凄く辛かった。

 でも、ここはそういう閉鎖間がない。周りの目を気にすることもない。そして真っ白な世界。まるでわたしがいた世界とは違う時間が流れていると思った。

 真っ白な世界の中を思いっきり走った。少し足がもつれたりしたけれど新雪を踏みしめながら私は走り、思いっきり空を見上げて寝転がる。

 空はどこまでも真っ青で、長らくこんな青を見ていなかったと思った。

「どうしたんだよ?何泣いてんの?迷子?」
「え?」
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