泣きたがりの君に優しい歌をあげる
 突然に頭の上から降ってきた言葉に私は自分の目元を触って起き上がる。確かに涙が出ていた。

「泣いていたんだ。わたし」
「泣いてるの気付いてなかったのかよ」
「うん」
「頭、真っ白だぞ。風邪ひくよ」
「あはは」

 その言葉に少しだけ笑ってしまった。 

 わたし、笑ったのもいつぶりだっただろうか。少しだけ顔が引きつってしまう。頬が涙と寒さでぴりぴりとした。

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