泣きたがりの君に優しい歌をあげる
「そっか、一緒だね」

 わたしはその男の子としばらく話をした。

 彼は歌手を目指していて、名前は「真夏」というらしい。とても彼に合っている名前だと思った。なぜなら自分の夢を語る瞳がキラキラと輝いていて、真冬の出来事なのに、まるで真夏のような太陽の輝きを感じて心が暖かくなったからだ。

 わたしのひえきっていた心は暖かく熱を持って、そして身体からやる気がみなぎって来た。

「得意な歌を歌って。わたし、歌が下手で、それで学校に行けなくなっちゃったの」
「歌で?!歌は人類を救うんだぞ!上手くなくても心がこもっていればいいんだよ」
「そうなんだ」
「そうだよ。でも歌うぞおれは。きいとけよ」

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