続・拗らせDKの偏った溺愛
そろそろ体育祭に戻ろうよ(笑)
先ほどまでとは違って自分たちの席に座っているクラスのみなさんでしたが、ヒソヒソと話す声やすすり泣きがずっと聞こえています・・・。
ど、どうしてこんな雰囲気を背後に感じているにも関わらず、私の両隣に並んで座るお三方はいつも通りなのでしょうか?
「だりぃ~。あとどれくらいで終わるんだよ」
「やだ!トラくんってば!!そうやって女の子が嬉しくなっちゃうようなこと言うの上手なんだから~~♡」
「上手だなんて・・・本当に思ったことを言っただけだよ?」
竜也くんはもちろん、綾乃ちゃんも虎谷くんもマイペース、ですね。
良い意味で空気を読まないお三方に置いてきぼりをくらったような、それでいて救われているような複雑な気持ちです。
とりあえず私は沈黙を決め込もうと思います!
と思っていたのですが、
「おい、美咲、飲み物」
唯一、私の左隣に座っている竜也くんから声がかかりました。
「は、はい!」
なんとなく釈然としない気もしますが、竜也くんの言うことには”はい”というお返事をするという決まりです。
沈黙していようという決意は瞬時に頭の隅に押しのけました。
まだ飲んでいないペットボトルのお茶が手元にあったのでサッと手渡すと、竜也くんは無言でお茶を受け取って、またグラウンドに視線を戻されます。
途端にざわめきだす周囲の声。