続・拗らせDKの偏った溺愛
そうして知らず知らずのうちに俯いてしまったのですが、
「おい、なに力んでんだよ」
思わぬ言葉にびっくりしました。
ハッとして声の主の方を見ると、眉をひそめた竜也くんが私の顔を覗き込んでいらっしゃいます。
「えっ」
「えっ、じゃねーよ。手、思いっきり握り込んでるし。おまけに唇嚙み締めすぎだろ。そのうち切れるぞ」
唇。言われてみれば下唇を噛み締めています、私。
前からなんとなく思っていましたが、もしかして私がみんなの前で話したり、注目を集めるのが苦手だということに気づいてらっしゃるのでしょうか。
以前も焦ってしまって上手く話しだせないときに
”聞いてやるから落ち着いて話せ”
と言っていただいたことがありました。
もしそうだとしたら、ちょっと嬉しいです。
下僕ではなく、一人の女の子として気にかけてくださったことがあったのかもしれません。
そう思っているうちにも、竜也くんの伸ばした手が私の口元へと・・・