続・拗らせDKの偏った溺愛
「竜也って何気に美咲ちゃんのこと見てるよね」
あと少しで竜也くんの手が私の口元に到達する、というところでしたが、それを綾乃ちゃんの向こう隣に座っている虎谷くんの声が止めました。
周囲では竜也くんの手が伸びてきた瞬間から
「「キャー!」」
「「「イヤ~!!」」」
という悲鳴が上がっていたので、私としてはちょっと助かりました。
あのまま竜也くんの手が私の口元に届いていたら・・・無理です。
想像するだけで顔から火が出そうです。
「だよね!美咲のこと、ちゃんとわかってるって感じがして親友としても嬉しいよ!」
右隣に座る綾乃ちゃんが可愛く小首をかしげてこちらを見ています。
同じく綾乃ちゃんの後ろから、これまた同じく可愛く小首をかしげた虎谷くんが顔を出されて、
「やっぱり美咲ちゃんって、竜也にとっては大事な女の子なんだね」
なんてことを言われるものですから、一気に顔に熱が集まってきました。
赤くなってしまったであろう顔を竜也くんに見せるのがいたたまれなくて、右側に座る綾乃ちゃんと虎谷くんに顔を向けたまま動けません!!
そのせいで、その表情まではわかりませんが・・・虎谷くんの言葉に反応して、少し焦ってしまわれたような竜也くんの気配は伝わってきます。
「はぁ!?貴紀、お前なに言って・・」
虎谷くんはクスクスと柔らかく微笑んでらっしゃいます。